最高のレンズを求めてこんにちは。しむ(@46sym)です。
「恋に落ちる標準レンズ」と(僕の中で)名高いMakro-planar 2/50 ZF.2。
本気で惚れ込んだ末、手放したばかりのD850を買い戻してニコン機に出戻りするほど。
そんな僕が2本目のレンズとして選んだのはCarl Zeiss Milvus 2/135 ZF.2。マクロプラナーと同じ、カールツァイス製のレンズです。
Apo-Sonnar 2/135という名前のレンズの後継機に当たるものですが、光学性能は同等のもの。細かいことはここでは置いておくとして、この上なく素晴らしいレンズ。
夏休み前に購入して、1週間毎日がっつり使い込みました。週末フォトグラファーの僕からすると2ヶ月分くらい毎日撮りまくりました。
めちゃくちゃお気に入りの一本になったのでがっつり写真と共に紹介していきたいと思います。本当によいレンズです。
Carl Zeiss Milvus 2/135 の作例写真と実写レビュー
Milvus 2/135 ZF.2の重量は1059g。愛用するD850と合わせることでその重量は実に2kgを超えます。そんな重量級の構成ですが、手のひらへの収まりは悪くありません。それは新しくなった鏡筒のデザインと、しっとり馴染むピントリングの恩恵が大きいんだと思います。
上で遠景から切り取った観覧車に近づいて撮った一枚。寄っても、離れても、とてつもなく解像している事が分かると思います。
「Milvus 2/135 ZF.2はApo-Sonnar 135mm F2の後継レンズだ」と冒頭で書きましたが、Milvusもアポゾナーなんです。何言ってるのか分からないですよね。
Apo-sonnarと言うのはレンズの光学設計の話で、Sonnarと言うのがレンズ構成の名称。Apoはアポクロマート設計と言う色収差を抑えたレンズ設計ですよって。
小難しいので「なんだか綺麗に撮れるレンズ」って覚えておけば良いと思います。
ちなみに世界が憧れるCarl zeiss Otusシリーズの85mmはApo planar、55mmはApo distagon。時代はアポです。
このレンズ、Milvus 2/135 ZF.2はMF専用レンズ。AFなんていう気の利いた機能は付いてません。ピントは全て自分で合わせる必要があります。
その代わりと言うわけでは無いですが、ピントリングは幅広。鏡筒全体がピントリングになっている事により撮影スタイルに捉われないピント調整が可能。
トルク感もしっとりと効いており「ピントを合わせる」という操作をこの上なく楽しませてくれます。単純だけど奥深いこの操作が、写真を撮っている事を思い出させてくれる。
この先は少し、各テーマごとに写真を見ていこうと思います。
135mmの中望遠レンズが作るポートレート
中望遠レンズ定番の被写体と言えば人物、ポートレート撮影ですよね。
ポートレートの定番といえば85mmですが、近年では135mmの評価も高まっています。
ちなみに僕は全然ポートレート撮れてません。そんな出会いないんだけど、誰かモデルになってください。
僕が撮るポートレートの被写体は99%が娘。(誰か撮らせてください)
なので必然的にそこまで距離を開ける事はないので、135mmで全身を入れるのは結構厳しかったり。
ただ、見てもらって分かる通り、背景はトロットロにボケます。この上なく柔らかい写真に仕上がるのは間違いないかと。
周囲の景色と絡めて撮るにも良いレンズだと思います。(主題が人じゃない)
縦構図だと人も良い感じに入るのではないかと思います(主題が人じゃない)
こう言った構図でも浮き立つ様な描写と背景の柔らかいボケが得られるのは中望遠ならではですよね。(知らない子です)
つまりアレだ。誰かポートレート撮らせてください。
135mmの中望遠レンズで切り撮る風景写真
135mmと言う焦点距離は、風景写真にとって違和感が多いものだと思います。
風景、とりわけ絶景と呼ばれる様なものは広角側で撮ることが多く、長くても35-50mmくらいまでで収まってしまうのでは無いでしょうか。
だからこそ、135mmで切り撮る世界は面白い。
と言うわけで、僕の切り撮った風景でも眺めてやってください。
Carl zeiss milvus 2/135 ZF.2 in 海
打ち付ける波を撮る時なんかは、広角レンズだと迫力が足りなく感じてしまうもの。そんな時に中望遠は活躍します。
それにしてもすごくキレイな青。語彙力が不足している事を痛感しますが、ここまで真っ青の世界を演出できるのはきっとこのレンズのおかげなんだと思います。全然わからないけど。なんでこんな青いの。
せっかくなのでグッと近づいて撮ってみました。
シャッタースピードを1/8000まであげて。やっぱりこう、何度見ても良い感じにシャープに写りますね。
Carl zeiss milvus 2/135 ZF.2 in 植物
これは日が傾きかけた時間に撮った一枚。D850という高画素モンスターマシンのスペックをこの上なく発揮しているのではないでしょうか。こういった葉が生い茂るシーンでは、シャープに切りとれるレンズって重宝します。「開放からシャープ」って今ではよく言われますけど、ほんと撮って体感できるレベル。
僕が今年とった最初で最後の向日葵。夏真っ盛りに撮ったのに、すでに夏の終わりを感じる一枚。
少し誇張してる感じもあるけれど、この哀愁は目にした時の印象をそのまま残してる。
何を撮りたかったのかいまいちピンと来ない写真なんだけど、何気ない一枚で感じる、カラッとした空気と少し涼しげな日差し。何も撮ってないんだけど、伝わるものってあると思うんだ。
Carl zeiss milvus 2/135 ZF.2 in 空
広く切り取る事は苦手な中望遠レンズだからこそ、表現できる空があります。相変わらず雲の多いお盆でした。
曇天の日にはまるで水彩画の様な雲を魅せてくれるし。
晴天の日には青空を青空のまま切り出してくれる。
撮るたびに違う顔を見せてくれる、空を撮るだけでも十分に楽しい。
一週間毎日の様に通い詰めたのに、ついに夕焼けに恵まれる事はなく、僕の夏は終わってしまいました。
それでも、薄曇りの中の夕焼けまでしっかりと描き切ってくれる。シャープなだけじゃない、空気を写すレンズってまさにこういう事だと思うんです。
135mmの表現する、夕焼け
薄曇りの夕焼けと言いましたが、一瞬の隙間を縫って撮れる限りパシャってきました。水面の精細な描写といい、光の映り込みといい、ツァイスのポテンシャルが尋常じゃない事が垣間見えるかと思います。
実際雲の状態はとんでもない事になっていて、本当にきらめく部分だけをピックアップした写真。
できる限り広く撮ろうとしてこんな斜め構図に。水に厚みを感じる、重さのある一枚に仕上がった。(意図してない)
砂浜に映り込む夕日って素晴らしいですよね。ぐっと引き寄せて撮れるレンズならではの凝縮感ある。
ツァイスは光を撮る事に長けたレンズだと思っていますが、それと同じくらい、水を撮る事に長けたレンズだとも思ってます。
水と光のコラボレーションですからね。合わないわけがないんです。
Carl zeiss milvus 2/135 ZF.2 の周辺減光が(相変わらず)エモい
マクロプラナーのレビュー時にも僕が絶賛していた、艶やかな周辺減光はMilvus 2/135 ZF.2でも健在。ツァイスのレンズが生み出す周辺減光は、なんだか艶かしくてドラマチック。
開放撮影時に一定の距離で撮ると良い具合に周辺落ちしてくれます。
こんなにかわいいヒツジ、初めてみた。
牧羊犬に追い込まれるヒツジズ。
この周辺減光が僕はすごく好きで、中心部の色使いと相まって、他のレンズでは得られない味になっていると信じてます。
正直ピントは合ってないんだけど、そんなのいいんだよ。次女ちゃんかわいい。エモい。
Carl Zeiss Milvus 2/135 ZF.2の生み出す、光と影
上でも少し触れたけど、カールツァイスのレンズで優れていると僕が感じているのは光の描写。一面光に包まれているのに破綻もせず、煌びやかな印象を与えてくれるのは、このレンズだからだと思う。
マクロプラナーを使った時も感じたし、実際その時に「光の扱いが上手いから、周辺減光が良い」という事を書きました。
それは今でも感じていますが、このレンズを使った時に感じたのは「影の描写が上手いから、光をキレイに描写する」という事。
写真ってつまるところ光を撮ってるわけじゃないですか。光の多い部分は明るく、光の少ない部分は暗く、そうやって像を残しているんです。
光の扱いが上手いという事はもちろん、影の描写も同様に優れているという事なんですよ。光量の多い、少ないをしっかり捉えて、適切に描写してくれるあたり、値段に見合った価値を感じる逸品です。
Carl Zeiss Milvus 2/135 ZF.2 MFの楽しさを教えてくれる、究極の中望遠レンズ
135mmという中望遠で、開放F値2という聞いただけでワクワクする様なポテンシャルを持ったこのレンズ。
撮ってる間はそれほど気になりませんが、ボディとレンズ1つずつで2kgというのは長時間持ち歩くにはやっぱり重いです。
それでもなんでこのレンズを選ぶかと言うと、やっぱりこのレンズでしか撮れない絵があるから。
目で見た美しさはそのままに、それ以上の感動をもたらしてくれるこの瞬間は、Milvus 2/135を買ってよかったなと思わせてくれるわけです。重いレンズだけどぶら下げておいてよかったな、と心の底から思うわけです。
そう言った瞬間は大切。そのために写真を撮っていると言っても過言ではない。
AFもないし、ずっしりと重い金属製のレンズ。それでも、デメリットを補って余りある絵が撮れるレンズだと思います。
安い買い物では無いですが、一生物になる可能性を秘めた素晴らしいレンズだと思います。
「写真を撮る」と言う行為を楽しませてくれる、最高峰の中望遠MFレンズ。いかがですか?
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