SONYから発売されているフルサイズミラーレスは大きく分けて4種類に分かれています。
- α7シリーズ:フルサイズミラーレスのエントリーモデル。フルサイズでエントリーとかよく分からないやつ。現在第三世代まで発売中。
- α7Sシリーズ:画素数を抑え、高感度耐性を高めた機種。画素数は少ないものの高感度は異常に高くてビデオグラファーには超絶人気。現在第2世代モデルまで販売中。
- α7Rシリーズ:高画素全振りモデル。現在は第三世代まで販売されていて、最新世代で高画素と機能性を兼ね備えた無敵モデルへ進化した。
- α9シリーズ:2017年に第1世代が発売された機種。プロユースとして、AF性能や連写性能、全ての機能を高次元にまとめた事実上の最上位モデル。
現在僕はα7RIIIとα6300を所有していますが、実際問題として、α7RIIIで撮れないものはないくらいに重宝してます。まさに愛機です。
そんな愛機なのですが、本当に些細な部分で不満がちょっとあって。最上位機種のα9ってどうなの?と気になってしまったわけです。
ただ、α9が最上位機種とは言え、後発で発売されたα7RIIIの方が性能として上回る部分も多いと思います。
悶々と悩んでいても仕方がないので、「結局α7RIIIとα9、どっちがいいの!?」という僕の心の叫びを元に記事を書くことにしました。
画素数が違う事はもちろん読者の皆様も認識してると思うのですが、その他の差別化にも目立った部分が多くあります。
興味をお持ちの方はぜひ、お読みいただければと思います。
※ 本記事に掲載している画像は、それぞれα9とα7RⅢの公式サイトからお借りしました。
SONY α9とα7RⅢを比較して違いを把握する
という事で気になるαシリーズ最上位機種の頂上決戦。表を準備しました。
長いので興味のない方はざっと見てください。
α9 | α7RⅢ | |
センサーの種類 | 35mmフルサイズ(35.6×23.8mm)Exmor RS CMOSセンサー | 35mmフルサイズ(35.9×24.0mm)ExmorR CMOSセンサー |
画像処理エンジン | BIONZ X(ビオンズ エックス)+ フロントエンドLSI | |
有効画素数 | 約2420万画素 | 約4240万画素 |
総画素数 | 約2830万画素 | 約4360万画素 |
ローパスフィルター | ローパスフィルターあり | ローパスフィルターレス |
ファイル形式(静止画) | JPEG (DCF Ver.2.0、Exif Ver.2.31、 MPF Baseline)準拠、RAW(ソニーARW 2.3フォーマット) | |
記録画素数(縦横比3:2) | 6000 x 4000(24M) | 7952 x 5304(42M) |
記録画素数(縦横比16:9) | 6000 x 3376(20M) | 7952 x 4472(36M) |
画質モード | RAW、RAW+JPEG、JPEGエクストラファイン、JPEGファイン、JPEGスタンダード | RAW、RAW+JPEG(エクストラファイン、ファイン、 スタンダード)、JPEG(エクストラファイン、ファイン、スタンダード) |
14bit RAW 出力 | ○(非圧縮に対応) | |
ピクチャーエフェクト | 8種類: トイカメラ(ノーマル、クール、ウォーム、グリーン、マゼンタ)、ポップカラー、ポスタリゼーション(カラー、白黒)、レトロフォト、ソフトハイキー、パートカラー(R/G/B/Y)、ハイコントラストモノクロ、リッチトーンモノクロ | |
クリエイティブスタイル | スタンダード、ビビッド、ニュートラル、クリア、ディープ、ライト、ポートレート、風景、夕景、夜景、紅葉、白黒、セピア、スタイルボックス1-6 (コントラスト<±3段階>、彩度<±3段階>、シャープネス<±3段階>) |
|
ダイナミックレンジ機能 | 切、Dレンジオプティマイザー (オート/レベル設定 <Lv1-5>)、 オートHDR (露出差オート/露出差レベル設定 <1.0-6.0EVの間で1.0EVごと6段階>) |
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色空間 | 「トリルミナスカラー」対応 sRGB規格(sYCC色域)、AdobeRGB規格 | |
記録メディア | メモリースティック PRO デュオ、メモリースティック PRO-HG デュオ、メモリースティック マイクロ(M2)、SDメモリーカード、SDHCメモリーカード(UHS-I /II対応)、SDXCメモリーカード(UHS-I /II対応)、microSD メモリーカード、microSDHC メモリーカード、microSDXC メモリーカード | |
ノイズリダクション | 長秒時NR 入/切 SS 1秒からBULBに適用、高感度NR 標準/弱/切 | |
マルチショットNR | – | |
ホワイトバランスモード | オート/ 太陽光/ 日陰/ 曇天/ 電球/ 蛍光灯<温白色/白色/昼白色/昼光色>/ フラッシュ/ 色温度設定(2500K-9900K)、 カラーフィルター(G7-M7、A7-B7)/ カスタム/ 水中オート | |
AWB微調整 | ●<G7-M7(全57段階)、A7-B7(全29段階)> | |
WBブラケット | 3枚、H/L切り替え | |
AWB時の優先設定 | ○(標準/雰囲気優先/ホワイト優先) | |
フォーカス検出方式 | ファストハイブリッドAF(位相差検出方式/コントラスト検出方式) | |
AF測距点 |
693点(位相差検出方式) 25点(コントラスト検出方式) |
399点(位相差検出方式) 425点(コントラスト検出方式) |
検出輝度範囲 | EV-3-20 (ISO100相当、F2.0レンズ使用) | |
フォーカスエリア | ワイド(693点(位相差検出方式)/25点(コントラスト検出方式))/ゾーン/中央/フレキシブルスポット(S/M/L)/拡張フレキシブルスポット/ロックオンAF(ワイド/ゾーン/中央/フレキシブルスポット(S/M/L)/拡張フレキシブルスポット) | ワイド(399点(位相差検出方式)/425点(コントラスト検出方式))/ゾーン/中央/フレキシブルスポット(S/M/L)/拡張フレキシブルスポット/ロックオンAF(ワイド/ゾーン/中央/フレキシブルスポット(S/M/L)/拡張フレキシブルスポット) |
ロックオンAF | ○ | |
瞳AF | ○ | |
その他フォーカス関連機能 | 動体予測、フォーカスロック、静止画AF被写体追従感度、縦横フォーカスエリア切替、フォーカスエリア登録機能 | |
測光方式 | 1200分割ライブビュー分析測光 | |
測光範囲 | EV-3- EV20 (ISO100相当、F2.0レンズ使用) | |
測光モード | マルチ測光、中央重点測光、スポット測光(標準/大)、画面全体平均測光、ハイライト重点測光 | |
露出制御モード | AUTO(おまかせオート)、プログラムAE(P)、絞り優先AE(A)、シャッタースピード優先AE(S)、マニュアル(M)モード、動画(プログラムオート、絞り優先、シャッタースピード優先、マニュアル露出、選択可)、スロー&クイックモーション(プログラムオート、絞り優先、シャッタースピード優先、マニュアル露出、選択可) | |
露出補正 | ±5.0EV (1/3EV, 1/2EV ステップ選択可能) (ダイヤル操作時 : ±3EV (1/3EV ステップ)) |
|
露出ブラケット | 1枚撮影/連続撮影、3枚/5枚選択時ずらし量:1/3、1/2、2/3、1.0、2.0、3.0EVステップ、9枚選択時ずらし量:1/3、1/2、2/3、1.0EVステップ | |
ISO感度 | メカシャッター時: ISO100-51200 (拡張:下限ISO50、上限ISO204800)、 AUTO (ISO100-6400、上限/下限設定可能)、 電子シャッター時: ISO100-25600 (拡張:下限ISO50)、 |
静止画撮影時:ISO100-32000(拡張:下限ISO50、上限ISO102400)、AUTO (ISO100-12800、上限/下限設定可能) |
ファインダー形式 | 1.3cm(0.5型)電子式ビューファインダー | |
ファインダードット数 | 3,686,400 ドット | |
ファインダー視野率 | 100% | |
ファインダー倍率 | 約0.78倍(50mmレンズ、無限遠、-1m-1 ) | |
ファインダーフレームレート選択 | STD 60fps / HI 120fps | |
背面液晶 | 7.5cm(3.0型) TFT駆動 | |
背面液晶ドット数 | 1,440,000ドット | |
画面表示切り替え | グラフィック表示、全情報表示、情報表示 なし、ヒストグラム、水準器、ファインダー撮影用 | グラフィック表示、全情報表示、情報表示 なし、ヒストグラム、水準器、ファインダー撮影用、モニター消灯 |
タッチパネル | ○ | |
チルト機能 | カメラ背面に対して 上約107°、下約41° |
|
MFアシスト(ピント確認機能) | ○ (35mmフルサイズ時 4.7x,9.4x APS-C時 3.1x,6.2x) |
○ (35mmフルサイズ時 6.2x,12.4x APS-C時 4.0x,8.1x) |
ピーキング | (高/中/低/切)(色:レッド/イエロー/ホワイト) | |
全画素超解像ズーム | 2倍 | |
シャッター方式 | 電子制御式縦走りフォーカルプレーンシャッター | |
シャッタースピード | メカシャッター時:1/8000-30秒、バルブ オート時:1/32000-30秒、バルブ 電子シャッター時:1/32000-30秒 |
1/8000-30秒、バルブ |
連写速度 | AUTO/電子シャッター時: Hi:最高約20コマ/秒、Mid:最高約10コマ/秒 、Lo:最高約5コマ/秒 メカシャッター時: |
Hi+:最高約10コマ/秒、Hi:最高約8コマ/秒、Mid:最高約6コマ/秒 、Lo:最高約3コマ/秒 |
連続撮影可能枚数 | JPEG Lサイズ エクストラファイン:362枚、JPEG Lサイズ ファイン:362枚、JPEG Lサイズ スタンダード:362枚、RAW:241枚、RAW+JPEG:222枚、RAW(非圧縮) 128枚、RAW(非圧縮)+JPEG 118枚 | JPEG Lサイズ エクストラファイン:約76枚、JPEG Lサイズ ファイン:約76枚、JPEG Lサイズ スタンダード:約76枚、RAW:約76枚、RAW+JPEG:約76枚、RAW(非圧縮):約28枚、RAW(非圧縮)+JPEG:約28枚 |
手振れ補正 | イメージセンサーシフト方式5軸補正 5.0段分 | イメージセンサーシフト方式5軸補正 5.5段分 |
Wi-Fi | ○ | |
NFC | ○ | |
バッテリー |
リチャージャブルバッテリーパック NP-FZ100 ファインダー使用時:約480枚 |
リチャージャブルバッテリーパック NP-FZ100 ファインダー使用時:約530枚 |
ボディ | マグネシウム合金、防塵・防滴に配慮された設計 | マグネシウム合金、防塵・防滴に配慮された設計 |
外形寸法 | 約126.9(幅) x 95.6(高さ) x 63.0(奥行き)mm | 約126.9(幅) x 95.6(高さ) x 62.7(奥行き)mm |
本体質量 | 約588g | 約572g |
撮影時質量 | 約673g | 約657g |
本体内充電 | ○ | |
USB給電 | ○ |
こうして見るとよく分かるのですが、基本的なスペックは似通ったカメラですね。スペック表の中でも気になる部分をピックアップ。
特に大きく違う部分を少しだけピックアップ
α9の積層センサー
α9は新しい積層型のセンサーを搭載しています。「Exmor RS」ってやつ。
これ、何が違うかっていうと、センサー(撮像素子)にメモリーの層を重ねてやったぜってやつ。だから積層型。
難しい事は置いておいてどんなメリットがあるかというと、とにかく早い。従来比20倍の読み出し速度。
センサーで読み込んだ情報をひとまずメモリーの層に貯めておく事ができる為
- AF/AE速度向上
- 瞳AF速度、精度向上
- EVFのラグの最小化
なんてところに貢献してるみたい。
特にAFに関してはズバ抜けてる。α7RⅢでも十分に精度が高いと思っているのですが、位相差AFの測距点はその1.5倍。ほぼ全域で位相差AFでスパッと決まります。
後発のα7RⅢにも搭載されるかと期待していたのですが、α7RⅢは前世代のモデルと同一のものを採用。
フルサイズ積層CMOSセンサーという別次元の高速性能は、もうしばらくはα9の専売特許となりそうです。
α9の連写性能
全てにおいて快適なレスポンスを約束されたα9のもうひとつの恩恵は連射速度。
これは(この記事を読んでいる人であれば)多くの人が知っている通り、その連写性能。
秒間20コマの連写性能って、ほぼコマ送り動画ですからねもう。
α9は基本的には(ものすごく優秀な)電子シャッターがメインになって、メカシャッターはあまり使わなくなるみたいです。
メカシャッターで秒間10コマを実現したα7RⅢの素晴らしさも褒めてあげたい。
α7RⅢの持つ画素数
α9を撮影の快適性、安定性に特化したカメラとするのであれば、α7RⅢで特筆すべきはやっぱりその描写力。
実際使って体感した上での話ですが、高画素機は絵の質感が違います。
これはもう撮って見るとか、実際にRAWファイルでも見て見るしかないと思うんですけど、別格の解像なのでα9とはまた違った魅力だと思います。
高画素機である恩恵として、クロップ耐性が高い事もメリットのひとつ。
APS-Cモードで撮影しても1800万画素相当と、少し前のハイエンドモデル一眼レフを超える画素数で、十分な画質を担保してくれるのはやはり大きなメリット。
α7RⅢはローパスフィルターレス
高画素機であるもう一つの恩恵が、ローパスフィルターレスである事。
従来のミラーレスや一眼レフでは、モアレや偽色の発生を抑える為に、ローパスフィルターというものを搭載しています。これは安定した描写を生み出すというメリットがある反面、解像感を下げてしまうというデメリットがありました。
実は高画素である事は、それだけでモアレや偽色の発生を抑える効果があるんです。なのでローパスフィルターがなくても十分な色表現ができて、フィルターレスになるのでより解像感が高まる、と。
最高ですね。
手振れ補正性能はα7RⅢが少しだけよい
手振れ補正機能に関しては
- α9:5.0段分
- α7RⅢ:5.5段分
と0.5段分だけα7RⅢの方が優秀です。
実際問題、高画素機であるα7RⅢの方がブレにシビアな面もあるので、0.5段分のアドバンテージがあったとしてもブレにくいのはα9なんじゃないかな、なんて勝手に思ってますが。
ファインダーは同じ
ファインダーはどちらも同じものを搭載しているようです。
このファインダー、EVFの中では本当に驚くほど綺麗なので、一度触れてしまうともう戻れない魅力がある。
背面液晶はほぼ同じ
背面液晶もほぼ仕様は変わりません。
強いていうなら
- α9にはタッチフォーカス機能がある(タッチパネル上をスライドする事でフォーカスポイントを移動する機能)
- α7RⅢはモニター消灯機能がある
くらいの違いでしょうか。これは人それぞれ違うけど、そこまで大きな差にはならないかも。
スペック表には現れない、α9とα7RⅢの違い
これ、スペック表にはないんですけど、僕の個人的な好みとしてかなり重要なポイントなので書いておきたい違いです。
α9にはドライブモードの物理ダイヤルがある
α9の左肩にはα7シリーズにはないダイヤルがひとつ増えています。
これは何かと言うとドライブモードの物理ダイヤル。
このダイヤルをグリグリする事で
- 単写
- 高速連写
- 中速連写
- 低速連写
- タイマー撮影
- ブラケット撮影
が切り替えられるんです。物理ダイヤルで。
ここら辺の機能ってフジのミラーレスや他社の一眼レフには(少なくとも上位機種には)普通についていた機能なので、30万円を超えるα7シリーズにすらついていないのはつらい。
変な差別化なしに、これくらいつけてくれてもいいのになと本気で思う。
α9にはフォーカスモードの物理ダイヤルがある
で、上で書いた左肩に搭載されたドライブモードの物理ダイヤル。実はそれだけじゃないんですよ。
ドライブモードの下段にはフォーカスモードの物理ダイヤルまで搭載されてるんです。
AF-S, AF-C, MFって僕は結構頻繁に切り替えるので、物理ダイヤルがすごく羨ましい。
これも他社のカメラには結構搭載されているんですよ。なんでα7RⅢには付けてくれないのか。ずるい。
α7RⅢはファイルサイズがデカい
これは高画素機である以上仕方ない事なのですが、α7RⅢのファイルサイズはちょっと引くくらい大きいです。
だいたいRAW1枚で85MBくらいありますからね。
この前娘の運動会で600枚ちょっと撮ってきたのですが、RAWファイルだけで55GBを超えていた時にはしばらく固まって絶句しました。
α9のRAWファイルだと1枚で約25MBくらいです。実に3分の1以下なので、安心して撮りまくれるんじゃないでしょうか。
α9はオレンジリングが細い!!
さっきまで知らなかったんだけど、α9のオレンジリングって細くなってるよね?なにこの絶妙な細さ。
いやだから何って事はないんだけど、ほそい。
SONY α9とα7RⅢ。それぞれの違いは、撮影スタイルの違い
実はこの記事を書く前は、α7RⅢを手放してα9に入れ替えてしまおうかと考えていました。
理由は上にあげた3つの不満点で
- ドライブモードの物理ダイヤルがない
- フォーカスモードの物理ダイヤルがない
- ファイルサイズが大きすぎてつらい
という理由だけです。特にストレージをここまで圧迫してまで高画素にこだわるメリットはあるのかな、と。
そんな事を考えながら比較ついでにこの記事を書いてたんですけど、これはどっちが上とかではなくて、撮影者のスタイルによって選ぶカメラが違うんだと思います。
α9は高速チューニングされた全てにおいて最上級の撮影環境を求めるカメラで、まさに失敗が許されないプロユースの安定したカメラ。
α7RⅢは一枚にじっくりねっとり向き合って、この上ない極上の一枚を残すためのカメラ。
と僕は認識しました。
確かに快適に撮れる、失敗を減らせるカメラってすごく魅力的なのですが、僕の場合満足できずに手放す未来が見える。
というわけで僕のメイン機はα7RⅢが続投する事に決定しましたが、それぞれの撮りたい写真によって選ぶカメラは変わると思います。
どちらも他のカメラでは代わりが効かない良いカメラ。α9Ⅱが出たらまた悩む事にします。
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