全国一億四千万人の星空スキーの皆様へ。
こんにちは。しむ(@46sym)です。
以前、星空・天の川の撮影手順としてこんな記事を書きました。
関連 【星空・天の川の撮影方法を総まとめ】その1:撮影スポット・撮影日時の選び方
上の第一回では、満天の星空を堪能できる、星空・天の川鑑賞スポットの探し方をまとめました。
なかなか盛り沢山ですが、上記事の内容を実践すれば確実に最高の星空を見上げることができます。都会の喧騒に疲れた時なんかはぜひ。
本日は第二回。写真愛好家の為に、星景・天の川写真の撮影方法をまとめます。
実際の撮影中の写真があれば良かったのですが撮影時は完全にこのシリーズを忘れていたので素材がない。そこらへんは後日補足します。
そんなわけで全国の写真愛好家の皆様に伝えたい、星空の撮影方法。
少しカメラをかじった人なら、難しいことは全くやりません。ぜひ一度試してみてください。
天の川の撮影手順リスト
- 天の川の撮影スポット・撮影日時の選び方
- 天の川の撮影手順 << 今ココ!
- 天の川の現像手順
星景撮影・天の川撮影の為に必要な機材・カメラアクセサリー
やっぱり多少は特殊な撮影になると思うので、それなりに普段とは違う機材が必要になったりします。
とは言え、普段使いのアイテムでも十分カバーできるので、気を落とさずに確認していってほしい。
そこそこの一眼レフとかミラーレスとかコンデジとか
それなりのスペックがあれば、星空の撮影は可能。
実際に1インチセンサーのコンデジ、RX100でも星空を撮れます。
ただし星空撮影はノイズとの戦い。ノイズに強いカメラの方が鮮明に撮れるので、センサーサイズは大きいに越したことはありません。
既にカメラを持っている人はまずは今のカメラでオーケー。まずは撮ってみなきゃ始まらない。
これからカメラを買う人もしくはカメラの入れ替えを考えている人で、星空の撮影を検討しているのであれば、最低でもAPS-C以上のサイズのセンサーがおすすめです。
こと星景撮影・天の川撮影において、センサーサイズは本当に重要だと思う。
関連 FUJIFILM X-Pro2で撮る天の川。APS-Cでも星景写真は撮れる。
出来るだけ広角のレンズ
今手持ちのレンズを一通り見てください。その中でいちばん短い焦点距離を持つものが星撮影に最適なレンズです。
星を撮影する為に広角レンズを使う理由は、大きく分けて2つあります。
- 星空・天の川を広く写す為。
- 長時間露光で撮影した時に、星が流れない様にする為。
ひとつ目は言わずもがな。せっかく満点の星空を撮影するのであれば、広大にダイナミックに撮影したいですよね。
特に天の川は長いので、広角レンズを使わないと途中で切れてしまったりします。
ふたつ目の理由が結構大事で、同じ時間露光しても、広角レンズの方が星が流れにくいです。
ものすごい小さい規模で考えてください。例えば30秒で星が1cm動くとするじゃないですか。
で、24mmのレンズで撮った場合に写る範囲が横幅10mだとするじゃないですか。1000cmね。
そうすると、写真全体の中の1/1000動いてしまう訳。
これが100mmとかの中望遠レンズで、1mの範囲しか撮影できない場合。横幅100cmの範囲を写真に収められる場合。
同じ1cm動くだけでも、写真全体の1/100動いてしまう訳です。実に10倍は動いている(様に見える。)
なのでできるだけ広く撮れる、広角レンズの方がよいのです。
何言ってるか全然分からないと思うので、分かりやすい図を作ってみました。
狂おしいほどに分かりやすいですね。
別に分からなくても困らないです。広角レンズの方が星撮りに向いてるって事だけ覚えておいて。
出来るだけ明るいレンズ
これも全ては星を流さずに撮る為に。
星が流れてしまう(動いてしまう)って言うのはつまり、シャッターを開いている間に星が動くから。
なので、シャッタースピードが長ければ長いほど、星は動きます。
とはいえ暗闇の中の撮影なので、とにかく明るさが必要。
明るいレンズをつけると、それだけで光を取り込める量が増えるのです。つまりF値が小さい方がシャッタースピードが短くて済むと言う事。
できる限り広角の、できる限り明るいレンズが最適なのです。お星様はワガママなのです。
三脚
前から言ってるんだけど、人間はいくら静止しているつもりでも動いてます。
俺は30秒くらいなら動かざる事岩の如しですぜって人はまぁ頑張ってくれればいいんだけど、一般人は頑張れない。
そんな過酷な環境でも絶対動かないあの子が必要。そう、三脚が必要。あいつほんと動かないから。
僕が使ってるのはマンフロットの055プロアルミというものなんだけど、ほんの少し、それなりに高いです。
その上アルミ製なので重いのですが、その分がっしりと止めてくれます。もう絶対動いてやるもんかって気概が見えるくらいには動かないです。
三脚についてちょっと補足
三脚は大きく分けて二種類、アルミ製とカーボン製があります。
- アルミ製:とにかく重い。なので持ち運びが大変。その代わりに横揺れに強く、風とかにも比較的負けない。
- カーボン製:軽いので持ち運びが楽。しかも頑丈。縦揺れに強いのでカメラのシャッターショックの影響を受けにくい。横揺れには弱いので、風が強い日なんかはセンターポールに重りをつけるとよろしい。
初めて買う三脚ならそれほど高くなくてもよいです。
K&F Conceptさんの三脚をモニター提供してもらって使ってるけど、1万円ほどで買えて、軽くて小さい。そこそこしっかりしてるので初めての三脚にはちょうどよいかも。
【レビュー】K&F Conceptのトラベル三脚「TM2524」。軽量コンパクトな機動力に魅了された!【作例写真つき】
でもやっぱりいずれはジッツォがほしいよね。憧れる。
リモートレリーズ(リモコンシャッター)
リモコンです。ただのリモコン。
通常の撮影と同じ様に手動でシャッターを切ると、シャッターを押す時の反動で被写体がブレます。なんてシビア。
なので、シャッターの衝撃をできるだけ和らげる為に、カメラに触れずにシャッターを切りたい。ただそれだけのためにリモコンを買う訳です。
あとはインターバル撮影って言って「シャッタースピード20秒を、1秒間隔で100回撮影」みたいな指定をしたい時もこれ。
星の軌跡を撮ったり、ホタルの撮影の時なんかはこの機能を使うので、一本持っておくとよい。
シャッター切るだけなので純正にこだわる必要もないし、ロワジャパンのやつとか安くて定番なのでよいよ。
これはSONY用だけど、各社それぞれに対応したものが出てるので、自分のカメラにあったやつを選んでください。
パーマセルテープ
黒くて太くておっきい…そんなマスキングテープです。他意はありません。
貼っていてもベタつかず、剥がしやすい。手で切れる。便利。
直接これをカメラに貼って液晶を隠したり(ホタル撮影だと液晶の光もアウトなので)、ピントリングが誤操作で動かない様に止めたり。
僕も買ってから1年くらい経つんだけどまだ3分の1も使ってないので、めっちゃ長持ちします。
写真撮るなら1つ持っておくと便利。
ヘッドライトやペンライト(できれば赤色)
星を撮るのは暗闇が最適というお話を第一回でしたと思いますが、現地に着くとそりゃもう暗いです。
スマホの明かりをつけながら歩けばいいじゃんと思うかもしれませんが、スマホの明かりって実は結構明るくて。すでに星を撮っている他の方の邪魔になったりします。
赤色の光は比較的写真撮影の邪魔になりにくい色なので、明るすぎない程度の光量で、できれば赤のライトを選んでおきましょう。
とは言え身の安全の方が1000000万倍くらい大切なので、ライトを忘れた場合はスマホでもいいのでライトつけて歩きましょう。
迷惑になる可能性は捨てきれないけど、死ぬよりマシです。
星景撮影・天の川撮影の撮影手順(自宅編)
ここまでの内容で、必要なものは一通り揃ったはず。あとは設定して、撮るだけ。
現地は暗いので、自宅でできる準備は事前にしておきましょう。
撮影モードはマニュアル(Mに設定)
星景を撮影する場合、現地に着いたら「絞り値」「シャッタースピード」「ISO感度」と、全て手動で設定する必要があります。
日常的にマニュアルでの撮影はあまりやらないかも知れませんが、星撮影においては別。必ずマニュアルモードで撮影するんです。
モード変更ダイヤルがついてるカメラの人は「M」にしておきましょう。
FUJIFILMとかダイヤルがない人は、絞り開放、ISO3200、シャッタースピード15秒くらいにしておきましょう。
MF(マニュアルフォーカス)に設定
各種設定をマニュアルで行うのと同じ様に、ピント合わせも手動で行います。真っ暗なのでAFじゃピント合いません。
つけてるレンズや使ってるボディにも寄るけど、MFモードに設定しておきましょう。
レンズ側にスイッチついてればレンズで。なければボディ側で設定できるよ。
レンズ・ボディの手ブレ補正はオフ
手ぶれ補正はオフにしておいてください。
シャッターを切った時に中のユニットが動いてブレを補正してくれるのですが、三脚に乗せて撮った場合も誤作動して補正しようとしたりします。結果余計にブレたりします。
現地についたら手持ちで撮影する事なんて100%ないので、安心してオフにしておいてください。
長秒時ノイズリダクションをオフ
多分メニューの中を漁ると「長秒時ノイズリダクション」みたいな項目があると思います。こいつもオフにしてやってください。
僕もよく知らないんですけど、長時間露光をした際に発生したノイズをズバババっといい感じに処理してくれるみたいです。
が、これをONにしてると勢い余って星まで消しちゃったりするとかなんとか。
ONにして撮った事がないので僕も聞きかじった知識でしかないんだけど、こいつはオフにしておくものらしいです。
ついでに言うと、30秒露光するとノイズリダクションにも30秒かかるらしいよ。倍の時間かかった上に星が消えちゃうとか必要性皆無です。
軌跡を撮る場合はレリーズの電池確認
星の軌跡を撮りたい場合、インターバル撮影という機能を使う、と言う話をしました。
インターバル撮影は上で紹介したロワジャパンのレリーズで出来るのですが、それには電池を使います。
逆に、シャッターを切るだけであれば、電池を入れなくてもレリーズは使えます。
インターバル撮影をしたいなぁなんて考えているときは要注意。電池見ておいてね。
星景撮影・天の川撮影の撮影手順(現地編)
現地に着いたらあと少し、頑張りましょう。
三脚を立てます
なんかいい感じの場所に三脚を立てます。
星の探し方は第一回で説明したからそっち見て。
星にピントを合わせます
「星にピントを合わせます。」って簡単に言ったけど、まぁ何言ってるんだコイツってなるよね。
無限遠に合わせればよいんだけど、レンズの無限遠マークに合わせても実際はその日の環境によって若干のズレがあります。
現地で無限遠の距離にピントを合わせる被写体がない場合は、直接星にピントを合わせるしかありません。
最近のカメラはけっこう高性能なので、ライブビューで星に向けて、液晶に写るくらい大きな星を探してください。
星を見つけたらそこを拡大表示してMFでピント合わせます。
ピーキング機能があればより一層楽だけど、どの位置がピント合ってるかパッと見ても分からないと思います。
無限遠付近を前後に動かして、星が一番小さくなるのがピントが合っている状態。
忘れない様に大きくしておきました。
大きく写ってればいいかななんて思うけど、それ、ただボケて大きく見えるだけだから。
一番小さくなっている状態が、ピントが合ってカリッと締まっている状態です。気をつけて。
ISO感度振り切るまで上げて構図を決める
適性のISO感度とか、ノイズとか一旦忘れてください。上限までISO感度あげちゃってください。
ISO102400とかまであげれば、シャッタースピード1秒とかでもバッチリ見えるくらいに写ると思います。
その分ノイズは凄まじいのですが、何が写ってるかくらいは余裕で視認できる。
その状態でどんどんシャッターを切って、いい感じの構図を作ってください。
実際にやってみると分かるんだけど、ライブビューで見てても暗すぎて構図まで分からないの。
なので、なんども撮っては位置の微調整をするんだけど、適切な設定でやると1回確認するのに20〜30秒かかるわけ。
それはさすがに時間の無駄なので、構図が決まるまでは写真の出来は一切無視して撮影してください。
絞り開放、シャッタースピードを15〜20秒、ISO3200前後に設定して一枚撮ってみよう
ここからは適正な露光時間の調整。
なんとなくですが、この見出しくらいの設定だと比較的バランスよく写る可能性が高そうなライン。
レンズやカメラの性能にもよりますが、まずはこれで撮影してみると良い。
ピントが合っているか、星が流れていないかをプレビューを見て確認
一枚撮ったら、プレビューを表示して出来を確認してみてください。
この時、必ず拡大表示して確認してください。
プレビューの液晶は小さいので全体図で見るとそこそこ撮れてる様に見えるんだけど、実はピントが合っていなかったり、星が動いていたりします。
後からがっかりしない為に、必ず拡大表示して、星がしっかり撮れている事、ピントが合っている事を確認しておくと幸せになれます。
もう一点、すごく大切な事なんだけど、よく撮れたと思った2段階くらいは明るめに撮ってください。
暗闇で撮影してると目が慣れちゃうんですよ。なので暗いところでプレビューを見ても、ものすごく明るく撮れてる様に見えるんですね。
で、持って帰ってきたらめっちゃ暗い。これじゃあ全然星が出てない。なんてことがザラにあります。
僕もよくしでかしてたけど、帰ってきてこんな写真見たらほんと絶望するから。
もう少し明るく撮りたい場合は
今の設定では少し暗い。もう少し明るくしたい。そんな時に出来る事は限られます。
そもそも写真を明るく撮りたい場合、カメラの設定で出来る事と言ったら3つしかないんですよ。
- 絞りを開ける
- シャッタースピードを長くする
- ISO感度を上げる
この3つのうち、絞りは既に開放なのでこれ以上開けません。そうすると取れる対策は2つだけなんです。
まだ高感度に耐えられる(ノイズでザラつかない)のであれば、ISO値を上げましょう。ISO3200まで上げればシャッタースピードを倍に伸ばしたのと同じ明るさです。
もし、万が一すごく広角のレンズを持っていて、星が点で写せる様であれば、もう少しシャッタースピードを伸ばしましょう。そうすればノイズを気にせずに明るい写真を撮ることができます。
「ISO=ノイズ」「シャッタースピード=星の点像」なので、ノイズにギリギリ耐えられる、ギリギリで星が流れない所を狙ってください。
この試行錯誤を超えて、最高の一枚を撮るのが楽しいんですよ。これが星景撮影の醍醐味と言っても過言ではない。
綺麗な星が撮れたらラッキー
これはFUJIFILMの撮って出し。すでに十分な天の川がバッチリ写ってますよね。
これだけ撮れれば最高に幸せです。というかFUJIFILMの撮って出し凄まじいのでこんなに写らないと思う。
同じところでD850で撮った天の川が下。これだけ撮れていればあとは現像でなんとかなっちゃいます。
と言うわけで今回の撮影編はおしまい。
次回、現像編に続きます。天の川写真はここからが本番です。
天の川の撮影手順リスト
- 天の川の撮影スポット・撮影日時の選び方
- 天の川の撮影手順 << 今ココ!
- 天の川の現像手順
コメント